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最高裁判所第二小法廷 昭和27年(オ)751号 判決 1954年2月12日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告理由第一点乃至第三点について。

いわゆる事情の変更により契約当事者に契約解除権を認めるがためには、事情の変更が信義衡平上当事者を該契約によつて拘束することが著しく不当と認められる場合であることを要するものと解すべきであつて、その事情の変更は客観的に観察せられなければならないことは所論のとおりであるけれども、本件において契約締結の当時と原審口頭弁論終結の時との間に戦災等のため、原審認定のような、住宅事情の相違があるからといつて、本件和解につき直ちに上告人の解除権を容認しなければならない信義衡平上の必要があるものとはみとめられない。従つて右事情変更による上告人の契約解除権を否定した原判決は正当であり、論旨はその各点につき仔細に判断するまでもなく採用に値しない。

よつて民訴四〇一条、九五条、八九条に則り、全裁判官一致の意見を以て、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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